おれは急いでいた
自転車の三段切り替えを一番重い三に切り替えて
長い長い下り坂を下っていた
途中 小さな女の子とその母親らしき親子が通りの向こう側に見えた
女の子は 道に出来ていた水たまりに向かって
かがんで手を振っていた
おれは急いでいたし
その情景はほんの一瞬の出来事であったが
おれの心を確かにやんわりと和ませていた
ペダルは全力で回転し
おれの表情はきっと
側から見ればなに一つ変わらなかったが

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